子どもっぽい二人しか描けない漫画家のHQコミックは興ざめしがち。横井先生は酸いも甘いも知ってるだろう大人のビジュアルで大人の恋愛の雰囲気を出すので、絵だけで既に初めから期待値高い。
水着シーン多すぎだが、ベッドシーンで頁数取られるよりストーリーの幅が出ているし、出逢いやその後一層互いに知り合う過程を経る場所がビーチであり、物語の舞台も浜辺の町とされていて、自然さには繋がった。
目の描かれてない絵がやたらに多い。
反体制派とドンパチ繰り広げる展開もあり、ヒロインが宮殿内の温かくない扱いをうけるなどもあり、彼との関係の波風ではなく外側の厳しさのほうに軸足のストーリー。
ヒロインが、自分の目の前の非常事態に怯まず、出来ることを精一杯やろうとする熱意、前向きさが、彼のみならず人々の心を動かす、というのは、読んでいてただ見初められて傍らに置かれるというのよりずっといい。
ただ、その肝心の、人々の心を動かしたというのが、後から説明されただけ、なのは物足りない感じはした。
二人が親密になる過程が作り物めいているというか、彼の熱心さやヒロインの躊躇は理解できるとはいえ、どうも断片断片に二人が親密になるための、或いは周囲に認められるための、主客転倒のエピソードに見えるてしまう。
人を助ける行為を読むのは単純に気分がいい。
お話だから、発生自体が人工的ではあるが。
3.7~3.9くらいのつもり。