おろち。
何百年の時を生き続け、超越的な能力を持ち、歳を取る事も無い彼女。
ミステリアスな、その美貌の少女の物語…「ではない」。
おろちは時に介入する事はあっても基本的に「傍観者」であり、物語の中心人物ではないのだ。
物語を織りなすのは、人間達である。人間の、薄皮一枚を隔てた本性、誰もが被害者にも加害者にも成り得る、恐ろしい物語を展開して行く。
おろちは悲しげな、切なげな、そして、何処か羨望の入り混じった眼差しで、「人間」を見続ける。
或いは我々は、おろちの目を通し、人間と言う物を客観的に突き付けられてしまうのかも知れない。
それが…鬼才、楳図かずお先生の発見した、究極の「恐怖の形」なのかも知れないなぁ。