悲しみの淵に居て生きることが苦しくなっているヒロインの目の前に現れた亡き夫の親友。
この組合わせ(亡き親友の妻と)も矢鱈見かけるものだが、不思議と私がHQコミックスで読んだのは数冊。恋愛に発展する二人ならばそもそも出会った当初からどこか惹かれ合うものだから、旧知の存在では不味、夫との死別後に出会わせる方がHQ読者層の抵抗感少ない。死という大義名分を出会いの理由にするゆえ戦死多し。この符合(?)は、病死なら生前に会う可能性が高まる為からなのか。
友の死に彼もまた苦しみ、二人は寄り添い合って行く。
撹乱要素無し。二人の日々が如何に愛を育んだか、そこを本当はたっぷり見たい。
ヒロインと彼とが負っている傷は、読み手には多分に、読もうかなと本書を手に取った当初から見える。亡夫の壁が立ちはだかる、といった想像はしてきている。
ヒロインの相手はモテ男が通り相場なので、「異性の関心を引くために苦労したことはない」設定をクリアする彼の外見と、そして、それを「なぜだかわからないんだ」と言う彼のキャラとの並立、田中先生の絵にその点では違和感は無い。だが、百戦錬磨だろうが!?。戦いの世界や陸の上の男女関係は、ある意味生存のバトルなのに?
たとえ苦労せずの人物といえども、それなりに巻き込まれてしまった経験ある筈、くぐり抜けた印象の持てるルックスは欲しい。ましてや食の好みで、ギャップを見せるなら。シャワー後の半裸、という場面は、ヒロイン目線の驚き表現だけなのであってー。
テキーラの大人の遊びのシーン、清純には留まりきれず、といって進めることもできない、そこが二人の関係描写のクオリティを上げたと思えるから、物語進行はいいとしても、その遊びの「なまめかしさ」は、もう少し滲ませて欲しかった。
泊まっていけと言う、自分から不意討ちキスをする、酔って(無邪気に) 大胆に振る舞う、など全てがヒロインには裏がないのが、少女漫画感があって私は大好きだが、反対にイヤな女の手練手管と、形は同一にも見える。
私は、ヒロインが動くストーリーも好きなので、最後の行動は歓迎。
ただ、それまでの「無邪気」が反転、結果的に挑発に思えて、どうもイヤらしいと感じてしまった。
普通、どなた?でチャイムにすぐドアを開けない。
締切期近にしてスランプだとは違和感。彼が見たいのは絵本になっている作品か、製作途上の絵か、明言していない。