愛されるマティ、暖かい居場所を得たヒロイン。葛藤は小さく、醜いいがみ合いなど展開しない。不信もなく隠し事もない。穏やかに築かれていく家族愛。皆が思いやりを持つ、できた人ばかり。
これは美しい話だが、ドラマが欲しい人には手応え噛みごたえはないから拍子抜けかも。
絵は優しい。可愛らしい。その反面、インパクトが強い絵がお好みには人は辛いだろう。
私は積極的に人に勧められるほど本作に強い引きは感じなかった。彼の葛藤描写がもう少し山場であったなら。
お母さんとの確執も、収拾があっけない。あ~そういう考え方ね?という着地点に辿り着く紆余曲折感が物足りない。
HQの結末は急展開だとの声をたまに見かけるが、私はそこは感じたことが一切ない。その代わり、こういうどこにでもあるかもしれないような感覚で展開されると、彼とかヒロインの母親とかの心情の急転回場面描写には入り込みたかったのに、さらさら話を廻し過ぎてるな、と感じてしまう。
第一、恋人だったラモーン、彼が優しいだけの気が小さいただの無責任男だったのか、そうでなかったのか。ヒロインを悲劇のシングルマザーに仕立てる駒に終わってしまったようで、視界不良。回りが不発弾処理みたいに見えて、登場人物達は中途半端に影が薄い。