記憶喪失もの。謎あり、家督問題あり。
第1巻の中で判明したのはそれほど多くない。気持ちの自覚と、ヒロインのそれを躊躇う気持ちを抱えながらも彼と過ごす時間。
展開はそつなくて、人物それぞれの立ち位置くっきりで、安定の筋運びのなかに器用に小出しに出てくる要素のバランスがいい。
原先生の絵は男性に目が吸い込まれていかず、メインキャラなのに疑似恋愛させてくれない。かっこよく描いて欲しい。私は紙のように厚みの無い登場人物たちの顔立ちを見ていると、どんなラブを語っていようが萌え足りない自分が居て、どこか他人事になって、話に入り込めなくて小鼻が引きつれるような感じがしてしまう。
外見に性的アピールがないし、女性の服装がどの作品も同じに見えてしまう。胸回りお腹回りが超ゆったりのふんわりドレスみたいに感じて、ヒストリー物というより、素朴なカントリー娘の親近感溢れる幼い恋に、思えてしまう。柄も貴族物というよりはチェック?柄と、頻出の大判ストールがここでも。第五話の扉絵は上記の不満な点が無かった
第一巻のカラー頁のジェームズ・オールドハースト卿初登場の顔は唯一良かった。
表現が定型化しているように感じて、器用に処理されているみたいに感じることがある。
2巻目で記憶が蘇るがその代わり忘れたものもあって、第1回の目覚めでもう1つのドラマが作られる。
記憶を回復した時に喪っている間のことを忘れることを扱った話はあるが、もし長期に喪失状態であったら、と思うと、HQはご都合主義だなとは思う。
グレーの初登場時、姿が平ら過ぎに見える。
再会の辺は特に特徴的なことはなく、彼の努力で良かったね、めでたしめでたし。不自然ではないのが流石。
ただ、悪役が悪あがきするも大暴れとまでは行かずに、これで終わり?、という感じ。
あちらこちらカラー頁が2巻目には半端に挟まれているが、86頁87頁103頁はなんとも計画性を感じない。単行本化前の出版事情と思うが、いきなりカラー出現、読み手の私は落ち着かない。54頁は何となく誤魔化されてる感が抜けない。
このコミックスはそうではないが他ので、頁上部の「ハーレクイン」の文字に、興をそぐことがある。
コミカライズ担当の漫画家の先生も単行本化の時に歯止めはかけられるのかわからないが、せめて編集時、編集サイドでは読者の関心の繋ぎかたに無頓着なことは整理し直して欲しいと思ってしまう。