相手の幸せを思って動くルカ。
日本なら大正時代の頃の服装が素敵。もともと狩野先生の作品は服が素晴らしいので期待を裏切らない。イタリアっぽさも人物の中に見えるようだ。
シチリアの海の描写も、地中海の海に見えた。島の様子も、行ったことはないが、そうなのだと思わせる、申し分のない舞台装置と感じる。
小さいときから互いに好きな二人だが、親が、そして、環境が、また、親のしていることを通じて社会の人たちが、二人を順調に歩ませてはくれない。
親を選べない悲しい現実、しかしそんな境遇だから、出会えた二人。好きなのに、周りに辛いことが多すぎる。
友人が涙が出るほどいい人で、互いに貧しさの中にも、ひねくれないで、汚れたお金が動く世界に、二人は汚されないような生き方をして、尊い感じで救われる。さっぱりとした気持ちの友情が辛さを支える。
ルカはルカのせいではないのに、罪を背負う決意をして、切ない。
ヒロインも、ルカが好きなのに、親に申し訳が立たず飛び込めなくなる。
しかし、二人が愛し合っていれば乗り越えられるのだ、と。
「メイドを拾った億万長者」と繋がる作品。
HQの先生の中ではバタ臭さがよく出せる先生なのでたっぶり雰囲気を味わった。