活劇仕立てで謎を追及するヒロインと水曜同盟の心意気が良い。男性社会でただ泣かされるばかりの弱い存在にとどまっておらず、犯人を探して仇を打とうとする心意気。
危ないことにも果敢に入って、読んでいるこちらは、気を付けて、と思うだけ、ハラハラシーンの多さ故に飽きさせない。
が、その一方、いろいろなエピソードが次々起きる中で、水曜同盟メンバーの動きがストーリー展開に重要であるにも関わらず、ヒロインの単独行動と、ヒロインと別に進む彼の捜査活動、何人かの犠牲者や小悪党の存在、また、黒幕や正体の見えぬ影の人物たちと、盛り沢山。それぞれが進行に重要な役どころをいちいち担わされて、これら、二冊のなかで全部が存在意義を主張するため、支流と本筋が譲り合わず、読み手の印象を妨げてくる。
どの犯罪ひとつとっても全く穏やかではないのに、これほどあれもこれもだと、そこは、重い比重をかけられない。
勢い、ヒロインの危険と隣り合わせの緊迫感が、彼とのロマンスムードと対照的に位置するほどとはならず、そしてシリーズものであるが為に、謎解明もスッキリとせず。
小さくまとまる話ではないが、これほど、読んで、幾つも出来事がありながら、ただ通過していくだけで読み終わってしまったのも、ドラマから置いてきぼりみたいで、なにかなぁ、と思う。
こういう話はロマンスだけで成り立ってはいないから、事件への興味を上手くさばいて欲しい。
構想に取られ、絵に費やす時間が足りかったか、と思うところが時々あった。