そういう相手なのかどうか、流れとして疑いが拭えないのも仕方ないだろう。意味ありげな紹介者の言動の上で始まっていること。。。
またヒロインは、同じゼミ生が紹介してくれた経緯から、真反対の意味で彼女の側からも疑いを持たなかった。素直で人柄のよいヒロインのキャラという背景もあって。
危ないアルバイトの話は、安易によく知らない人の口利きを信じるヒロインの痛い経験という高い学習費用に終わらず、最終おいしいバイトで終わった。本当は怖い話だろう。
こういう流れで、百戦錬磨のしかも生き馬の目を抜く実社会で、のしあがって登り詰めた大富豪が、ヒロインに純粋に恋愛感情に溺れていくのは、ロマンスものの趣向として常道の展開。単純に楽しい。
しかし、誤解の種を持ち続けて、疑惑解消は彼の委託した調査というのが、何とも危なっかしい。きちんと仕事する業者で良かったといえる。プロポーズしかない典型の落ちは、彼の不信で傷ついたヒロイン的にはいいが、他のHQにもいえることだが、相手を信じることの難しさがあり、ヒロイン自身を信じるだけでは済まないリアリティーが読み手の夢を少しだけ砕く。
ヒロインも誤解を招きかねない背景があることへの反省があったはずだが、彼中心の心理描写が物語進行の中では、彼のヒロインに対してやらかしてしまった言動に対する後悔ばかりが目立つ。
それでも、小林先生の絵に示される彼のリアクションが安定的に微笑ましく、予想通り展開しているのに面白かった。彼の照れとか、ヒロインの善良キャラが、よく伝わった。