ひかれ合って、求め合って、抑えきれない気持ちを、彼リックは何度も隠さず出してくる。但し、人目を気にして職場では隠れていたいと。
ヒロインは彼に自分の気持ちを隠したい。何故なら、身体を見せたくないから、知られたら受け入れてもらえない悲しみを味わいたくないから。どうにかこうにか隠す為に、距離を置こうとするも、ままならぬ恋情。彼にだって隠し事があるのだ。
この話の麗しさは、ヒロインがリックの事をミュージシャンかなにかだと思って知り合ったこと。ヒロインは、彼が病院を去ることになると(彼は)無一文生活から始める、と聞かされていたところに、実際辞めることになってなおも一切怯まず彼に連れて行って欲しいと願うこと。
リックの篤い志には、頭が下がる。彼のご両親も立派で凄い。
忙しくしているリックの身体を心配する声が複数回出てきた。ここで日本のドラマでは、ドラマ的に最も悲鳴の上がるタイミングで、遠からず作り手は無理がたたった人を倒らせてきたのに、これは、そこまで傍(はた)が案ずるほど働いてきている、ということを、ただ示したに過ぎないのか。
絵は、私の好みではないし、見せ方も主観的に言って趣味とは異なるが、看護師長、ブリッジストーン氏、親友夫妻、といった登場人物がしっかりしている。突然のキス三回を除いて唐突展開がないのも、筋運びに安心して付き合える。もっと言えば、そのキスさえ、彼の押し留めておれない、ほとばしり故、を見せる意図も感じて、HQに時折見かける一歩間違えば犯罪的なキスではないと感じる。
隠す理由のなくなった彼が堂々とするシーンは素敵だった。
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