面白かった。ヒロインは一途一直線うじうじしてなくて、行動力が素晴らしい(無論子どもの頃と違い思慮深さもある)。話を思わぬ方向へ引っ張っていく複数のハプニングに、メイン二人も読み手の私も翻弄されながら、結局ヒロインは最強の応援者であって、気持ちがいいくらいピタッと彼の戦略に最適解を出す。
荻丸先生は、二人が戸惑いつつ何故か近付いていってしまうような結果を招く、偶然の、しかし好感を抱 かせる出 来事の前後を、ナチュラルないきさつもくるめて巧みに描く。多くのエピソードが出てきてもうるさくないのは、選挙を巡る舞台裏、ということで、ストーリーの視点に新鮮味があったし、現職の人物像の表向きの顔と裏の姿の描写など、話のピントを絞った展開が効いていて、読み手は置いてきぼりにはされないから?。
選挙参謀、きっかけだけでなくストーリー中に使われ、役者だ。ヒロイン家族がうっすら微妙で少しさっぱりしなかった。筋にメインで絡んで来ないので、仕方がないかもしれないが。