江戸情緒と推理のスリルが絶妙に絡み合った傑作捕物劇
髪結い修行中の下っ引き・市蔵(いち)が、夜鷹殺しの謎に挑む姿は、単なる探偵譚に留まらず、江戸の町の生々しい匂いや人情を巧みに映し出します
特に、夜鷹の爪に施された蒔絵の謎を追う過程は、細部の描写へのこだわりと構図の鮮やかさが光り、読者を自然と事件現場へ引き込む
いちと謎の蒔絵師・松之丞の対峙は、捕物帳の定型を踏まえつつも、二人の駆け引きや心理戦が軽妙に描かれ、テンポよく読ませます
単なる“悪を捕らえる物語”ではなく、職人技や江戸の文化的背景が事件解決に絡む点も実に細野らしい魅力👌
軽やかにして緊張感ある筆致は、時代劇ファンのみならず幅広い読者を楽しませる作品