途切れた記憶を取り戻す。その過程で、別れ別れになった二人が関係を再構築。私はこの人とー?当時を思い出せないから、また新たな出会いとして好意が生まれていく。
怖いことだと思う。喧嘩したり最悪の関係にあったかもしれないのに。
周りの人に恵まれて無理せず日常生活、その中で記憶喪失になる直前の自分がわかる日がやって来る。
すでに素敵なハーレクイン的なロマンスが喪失前にあったけれど、ケンカもあって。
再会後もまた育まれていく二人の愛があって。
どちらも甘さが良くて、この作品を手にして正解だったと思うところ。物語前半の、彼は一体夢か現実か、という過去の曖昧さ、後半から彼が日に日にリアルな対象となっていく現在の確実さ、ヒロインの戸惑いがよく感じられる。
秋元先生の描く男性のちょっと照れた顔が好きなのだが、この作品は内容からそんなかわいい表情は無理。
でも、とてもヒロインを愛しく思っていた、ということが伝わる場面を随所に見られ二人のシーンは素晴らしかった。
ストーリーが、謎を解き明かすよりも、二人の家庭観の相違をベースにしたことで、幾分ドキドキは減ってしまって惜しい。事故前にいったい何が、というところはそれであっても構わないけれど、記憶完全再生の時にでも、最後の1ページ半よりも二人の愛の盛り上がり場面を見たかった。
庭のバラのところでドミニクに名前を呼ばれるコマと、眠れない夜に抱き締められたとき「今この腕を放したくないの」とアニーが言うコマ辺りは、描かれているものが少し判りにくい。