ヒロインシャーロットの家族は、母親は癌にそして父親は窃盗で獄中死、妹は薬中毒とこの世の不幸を全て背負い込んだ権化のような女性だった。そんな中で 美術館に勤め真っ当に生活する彼女にも、窃盗の罪を被せられ恋人からも縁を切られた4年後からの物語。残念ながら、作中には 妹とのやり取りの苦悩が色濃く描かれはしていても、元恋人ヒーローデイモンの男性の魅力や、それに付随する彼女の感情や思考の描写が今一つ私には伝わってこず、ただひたすらに彼女に罪を被せた犯人を イラつきながら探し読み進めていた。こういう物語は好きではないが、それでも どんな許しを与えるのか、どんな許しを得るのか そこからの未来の展望は・・・と期待して それを読みたくてついつい購入してしまうのだが、なかなか納得する物語に出会えなくて折れそうになる。タイトルの言葉も 秀逸ではあるけれど、それを発言するシャーロットの作画にインパクトが無くて残念だ。デーモンにおいては、愛する女性なはずのシャーロットの無実を信じず調査されたかどうかも曖昧なままで その姿勢には我慢ならない。かといって、真実はどうであろうと そういう疑いをかけられること自体を疎んじているような発言が有る訳でもない(伝統を重んじる一族というのは疑われるだけで恥)。黒でも白でもない グレーでもないシャーロットを4年間放置し、忘れ去ろうとしていたデイモンと家族の あからさまな「他人」行動にとてもショックな物語だった。