作者の五百香ノエルさんが亡くなられたことを最近知り、ご存命のうちに読んでおけなかったことを残念に思います。
骨太な物語で、世界は主役2人のためだけにあるのではなく、脇役も皆それぞれの人生を生きそれぞれの運命を行く。
主人公の1人であるイリは背負っているものの重さに反し、ちっぽけで無力で、勝気さと世捨て人のような諦念を抱えているキャラクターです。もう1人の主人公ヤンアーチェは傲慢さや無知、子供っぽさがあり、俺様系のようでいて俺様になりきれない。沢山のキャラクターがいる中で彼らは飛び抜けて魅力的というわけではないはずなのに、その恋の行方が気になって仕方ない。
BL作品ではありますが、SF設定を併せ持つ壮大なファンタジーであり、読み物として面白いです。
この長い物語を書き終えてくださった作者に感謝します。