結婚時は処女、まったくのウブだった人妻を歳の離れた夫がだんだんとアブノーマルな世界にいざなう倒錯もの。表題の「記念日」とは主人公夫妻の結婚記念日のコト。その日を契機に初老の夫が、妻のもうひとつの処女を奪うことを画策する。物語は二人の馴れ初めから説き起こされ、じわりじわりと清純な妻が夫の提案するプレイを受け入れるまで、ゆっくりと展開され読者を焦らす。倒錯とはいえ内容はソフトで、妻も新しい世界の入口に立つところでエンディングとなり、「変身」し切るところまでは描かれない。なので多くの読者にも許容範囲と思う。異世界への扉を開けた妻がこの後どう変わっていくのか、続編を読んでみたい。