ネタバレ・感想あり大人的恋愛事情のレビュー

新井夕花

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速い画家さんさん

(女性/40代) 総レビュー数：1766件

タイトル通りヒロインの大迷走物語

ネタバレ

2021年8月2日

このレビューはネタバレを含みます▼ タイトル通りヒロインの大迷走恋愛物語。
実は本当の大人なんていない、みんな迷走しながら、戦いながら、何かを見つけようとしたり、妥協したりするというのが、人生だと、ヒロインが悟り、本当に欲しいものに正直に向き合うまでのたった一ヶ月位の短くも人生を左右する濃い日々を、濃くて、切なくて、霧中で、誰よりも自分自身のしたいこと、欲しいものに正直に向き合う勇気や、妥協したくなる逃げ場を探す年齢的な弱さやズルさなど、これでもかと、恋する妙齢の、結婚適齢期の女性の揺れ動く心理が濃い。そんな周りには美人と評されるヒロインを取り巻く、一夜の大人の関係からの、元彼の復縁要求、プロポーズ、ヒーローの優しくも曖昧なじわりとした誘惑など、安定かトラウマに傷ついた心で新しい未来の見えない恋かと、揺れ動く臆病な心の揺らぎが、リアル過ぎるほどにリアルで、恋を美化しがちな恋愛物語ではなくて、あくまでも、一人の現実の女性のリアルな人生と恋愛模様で、読みごたえがありました。嵐のように、強引でドSぶりを発揮しながら、甘えながらも俺様な元彼。ヒロインがあまりにも自分に順従だったからこそ、自惚れてしまい、ヒロインの恋心が当たり前過ぎるものになってしまい、その価値に気づかずに、年下女性の憧れの眼差しに大人ぶりたい為に、その関係をあっさりと捨ててしまった。しかし、結婚を要求されて初めて自分が大人ぶりたいだけ、ありのままの自分でいられる相手がヒロインだと悟り、その大切さを知り、ヒーローの登場に焦り、復縁を持ちかける。しかし、長い知りすぎた元恋人に捨てきれない情や、溺れていた自分から抜け出せない、安定を提供されて逃げ場のように思えたり、同じ年なのに、甘えたり強引だったりと、以前のように自分を翻弄する元彼に冷酷になれないヒロイン。そんなヒロインをずっと片思いしていて、一夜の大人の関係をチャンスとして捕らえ、優しくも、曖昧さを残しながらも、岩に染み込む湧水のように、じわりじわりとヒロインの心のうちに染み込むヒーローの優しさと愛情。ヒーローがキレて、初めて自分の新しい恋心に正直に向き合う勇気を持てたヒロイン。ヒロインを面白がりながらも、ヒロインの結論を応援する友人と後輩女性。ヒロインを揶揄するばかりの社内パパラッチ達も最後には応援してくれる大団円。ヒーローの優しさと勇気と愛情が素晴らしい。