このレビューはネタバレを含みます▼
「仕掛人 藤枝梅安」7冊合本を読んだので、初期作品というこの短編集も読んでみました。意外にも、藤枝梅安編に出てくる、元締 半右衛門 や 彦次郎が出ていて、ここから、仕掛人へとつながっていったのか・・ととても面白く読めました。
まだ、起り も 蔓 も書かれていませんが、殺しの依頼のときに、嘘偽りを言うことはご法度、その場合、依頼側の命はない・・という、「掟」の根本ができあがっていく作品だと思いました。
この作品の半右衛門は強い口調の人物で、セリフもとがっています。仕掛人編のときのような穏やかな口調ではなく、ちょっと人が変わったように感じました。一番、驚いたのは、この作品の彦次郎は、仕掛の相手に殺されてしまうこと。「顔」は、仕掛の相手が旧知のために、仕掛を躊躇し、ヤバイという自分の本音が知らせる赤信号にフタをしてしまうことのリスクを示しているように思いました。