ネタバレ・感想あり非合法員のレビュー

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純粋な怒りというもの
2017年1月14日
船戸さんは、この処女長編からお亡くなりになるまでの本当に長い間、とても純粋な方でした。
世界でこんな事が起こっている。こんな理不尽がまかり通っている。それに対して純粋な怒りをたぎらせている。
本作の作風はドライですが、ウェットな人間味が透けて見えて、大変面白いと感じます。
船戸さんの作品を乱暴に二分して、『夜のオデッセイア』の軽妙なキャラを脇に配すもの、南米三部作のギリシア悲劇のような定型をシリアスに貫くもの、に分けるなら、本作は後者の原点に相当します。
船戸さんの作品を初めて読む方に、特にお薦めの小説です。分量も少ないですしね。
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作家名: 船戸与一
出版社: 講談社
雑誌: 講談社文庫