このレビューはネタバレを含みます▼
最後まで読みましたが、ゴリオ爺さんは本当に哀れな立場に置かれていたように感じました。彼がもともと下宿屋のヴォーケル夫人からかなり気に入られていた存在であったというのは実に意外でしたが、ここから転落した理由が、ゴリオが別の夫人と話していたのをヴォーケルが見たことで腹を立て、他の下宿人に対してあらぬ噂などを植え付けたことだというので、つまりは本人には全く無関係なことで周囲の人により勝手に良くないイメージをつけられた、という解釈ができます。複雑な人間関係は、色々な人との間で昔から存在していたということをうかがわせる、心理に迫った名作だと思いました。