このレビューはネタバレを含みます▼
一時期勢力を伸ばしたマフィアであった著者による、仕事術の本。マフィアのときにはマキャベリの権謀術数に基づいて仕事をしていたが、刑に服しているときに旧約聖書の『箴言』と出会う。そこで彼は、古代イスラエルの王ソロモンの格言を集めた箴言は、まさにビジネス、ことに景気の悪い際の経営についての教訓の粋を集めたものであったことに気づく。
ともすれば結果が出れば良い、そのためには何をしても良いのだ、となりがちである。だが、この世の中のありとあらゆる厳しい局面を経験してきた著者は、「そうではない」と説く。正義が以下に権謀術数に勝利するかを非常に説得力を持って記している。地獄の果てに倫理を見た男の智慧と言えそうである。