高い評価を得ているということで、今回購入して読んでみた。いろんな場所で面白い、凄いと評価する人が多いが、個人的には読み進めるのが苦痛だった。主人公の一人称で物語が進むが、この主人公のうじうじと煮えきらず、ただ観念の中で生きているような現実感のなさにひたすら苛々させられた。 現実感に乏しいのは作中の殆どの時間、主人公に施された処置のせいであるとも言えるが、そういう処置をされていない人々もまた、今この現実に生きているようには見えない。ひたすら観念的な上っ面の言葉を並べているだけにみえる。
合う人にはとことん合うのだろうが、合わない人にはとことん合わないのだろうと感じた。
個人的に作中でもっとも血の通った描写はウィリアムズの"理不尽なものは全てカフカ"という乱暴で大雑把な認識だけだった。