このレビューはネタバレを含みます▼
12の短編全てが男女の愛憎劇、そしてその救済物語。その舞台に躍り出たのはサタースウェイトという老人。これまで人生において傍観者だった彼が、突然現れた謎の男に導かれるように事件解決へと尽力していく事になる。
事件の度どこからともなく姿を現しては消える謎の男、ハーリ・クィン氏。事件の謎解きとは別に強く謎を含むその存在は読んでいてとても興味を引きます。
クィン氏が登場する1話めから5話目まではまだ読者に彼の姿は見えています。
ところが6話目辺りから、あれ?という気持ちが膨らみ、その疑問は読み進めるうち強くなって、ついに最後の「道化師の小径」で決定的となる。
「後悔していますか?」
最後にサタースウェイト氏を通して道化師(ハーリ・クィン氏)に問われた気がした。
自分を含め、一体何人の人が胸を張って答えられるだろう?