ネタバレ・感想あり謎のクィン氏のレビュー

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小さな人生劇場を覗き見るような味わい
ネタバレ
2026年3月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ クリスティー作品の中でもひときわ異彩を放つ、幻想と人間ドラマが溶け合う連作短編集

現実の謎解きにとどまらず、男女の心の機微にそっと光を当てる構成が印象的です
どこからともなく現れては核心だけを示し去っていくクィン氏の存在は、まるで物語そのものを導く触媒のようで、その不可思議さが全編にほのかな余韻を残す‥
一方、観察者として寄り添うサタースウェイト氏の視線はあくまで人間的で、自然に共感してしまう
華やかさと静けさが同居する語り口は、短編ごとに小さな人生劇場を覗き見るような味わい

終盤に向かうにつれ積み重なる感情の層が、最後にじんわりと胸に広がる一冊です
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深い、とにかく哲学的
ネタバレ
2019年8月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 12の短編全てが男女の愛憎劇、そしてその救済物語。その舞台に躍り出たのはサタースウェイトという老人。これまで人生において傍観者だった彼が、突然現れた謎の男に導かれるように事件解決へと尽力していく事になる。
事件の度どこからともなく姿を現しては消える謎の男、ハーリ・クィン氏。事件の謎解きとは別に強く謎を含むその存在は読んでいてとても興味を引きます。
クィン氏が登場する1話めから5話目まではまだ読者に彼の姿は見えています。
ところが6話目辺りから、あれ?という気持ちが膨らみ、その疑問は読み進めるうち強くなって、ついに最後の「道化師の小径」で決定的となる。
「後悔していますか?」
最後にサタースウェイト氏を通して道化師(ハーリ・クィン氏)に問われた気がした。
自分を含め、一体何人の人が胸を張って答えられるだろう?
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