ネタバレ・感想ありおとぎのかけら 新釈西洋童話集のレビュー

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泥にゆっくり沈むような
ネタバレ
2023年5月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 西洋を中心とした童話をもとに、現代のお話が紡がれています。童話の中のモチーフがちりばめられていて、おとぎ話のかけらがそれぞれのストーリーの鍵になっています。そして、おとぎ話は夢のある話ばかりでないように、この本の各ストーリーで描かれている現実世界は残酷だなと感じることがあります。中には思わず目を背けたくなるような状況になってしまった子供や大人のお話もありました。空間や小物などは色彩豊かに書かれているのですが、読んでいてどこか浮かない、鬱屈としたやや暗い展開のものもあります。全体的に大人向けな作品の印象です。悲しみ、焦り、後悔、他人には理解できないような感情や欲求など、各話違う形でヒシヒシと伝わってきます。また、暗に明言されていない部分に、その状況から察したり、想像力を掻き立てられたりもして、上手い書き方をするなあと時々思いました。
それぞれの主人公達が何を選んだかを読んで確かめてみてほしいです。個人的には「アマリリス」がお気に入りです。
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