ネタバレ・感想あり額田女王のレビュー

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あかねさす紫野ゆきしめ野ゆき
2017年1月19日
生前、何かの授賞式の場で
「次に生まれて来たら恋愛小説を書きたい」
と、おっしゃっていらした井上大先生ですが、『額田女王』はそれに近いものでしょう。
この作品では、主人公である額田女王が、天智・天武両君の中をうまく渡り強かに生きのびる様が描かれます。
私は詩の鑑賞のセンスがないため、額田女王の詠む定型詩の出来不出来が分からないのですが、作中ではある詩を詠んだ時を境に彼女の天与の才が枯渇したと判ぜられています。
...古代の詩歌を知悉していないと、この小説の理解は半分にとどまるのでしょうね。

もとい。
2017年現在から見ると、歴史観が古く感じられるとは思いますが、それはそれと割り切って一篇の小説として楽しんでください。
稀少な、大化の改新前後を丁寧に扱う歴史小説です。
これはこれで
2024年2月25日
額田王を題材にした小説は数あれど、わざわざ女王としているものはこれにしか出会ったことはありません。
万葉時代の、平安時代にはない、皇族が権力の中枢として生き生きと活躍する話は、この時代にしかないもので、古くはこの国で確かにいらっしゃったのだと感じられて好きです。今は野原でしかないような地にも、息吹を感じられて、訪れてもみました。
読んでいる間、没頭できて興味深い作品です。
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作家名: 井上靖
出版社: 新潮社
雑誌: 新潮文庫