夫の死後、1年半経過し孤閨にある未亡人がヒロイン。そこへ海外赴任中の継子の青年が帰省するところから物語が始まる。ヒロインと関係するのはその息子とヒロインの書の師匠。藍川作品ではよくある設定だが、ここまで読ませるのは、やはり著者の技量か。長編作品ながら、作中の時間の経過はわずかに足掛け3日間。その短い期間に矢継ぎ早にストーリーが繰り広げられる。が、内容は至ってノーマルなプレイ。息子との関係は近親モノと言えるが、血が繋がっていないので醜関係とは言えず。SMプレイどころか高齢の師匠のペ二スに対する口腔愛撫もなし。それでも雰囲気をしっかりと盛り上げていき、読者の気分を着実に昂めていく。手堅い筆致とボリュームある内容が両立しており、野球に例えれば、ストレートの緩急だけで試合を組み立てていくベテランピッチャーに例えられようか。安心して読め、しっかり楽しませてくれる。高評価。