本作は1997年に富士出版より刊行された「新妻の疼き」を改題したもの。重複買いご注意。ヒロインは自身が卒業した大学の職員で、美貌と知性を兼ね備え、さらに男性経験のない生娘ときた。男たちにとり、まさに高嶺の花の女が同じ大学の教員と慌ただしく結婚させられ、夫の里の奇妙なしきたりに嵌められ、性に目覚めていくという筋書き。さて、清純な存在として描かれたヒロインが「エマニエル夫人」化していく過程だが、最初は当然男女の営みを躊躇する。はじめはゆっくりだが物語の最後に向かって「完成」されていく部分が、第4コーナーを回った競走馬のようにせっかちに展開する。そのためせっかく期待のシチュエーションでも読んでそそらない。「聖女」から「性女」への変身プロセスは、均等なペース配分であって欲しかった。ヒロインのキャラクターも今ひとつ固まっていないなという感想である。