小説家くくりの短編集。締切が迫っているのに一行もかけておらずネタ探しにジタバタする小説家の様子や、本屋にサイン会をしにきた小説家と一癖も二癖もあるファン達との冷や汗もののやりとりには笑いました。どの話も読み始めに「こういう系統の話かな」と想像していた方向とは違う方向にどんどん進んでいきます。ちょっとぞぞっとするようなブラックな終わり方だったり、短編でもしっかり「そうなるかっ」となる結末が用意されてておもしろかったです。私は奇骨先生とサイン会の憂鬱が特に好きでした。最後の夢物語の結末は筆者さん曰く少なくとも二通りの解釈が可能なように書いたとのことなのですが、私は一つの解釈しか思いつかず、また間をおいて読み直して確認してみたいと思いました。