ネタバレ・感想ありダイヤモンドダストのレビュー

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「冬への順応」目当てで購入しました
ネタバレ
2024年8月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ タイトルはダイヤモンドダストで、ダイヤモンドダストは、著者が芥川賞を受賞した作品ですが、私はダイヤモンドダストよりも、「冬への順応」に強く惹かれました。
恐らく、主人公のモデルは著者自身だと思います。
主人公と千恵子は、浅間山が見える奥軽井沢の山岳地帯の小学校の同級生。神戸の山の手で育った千恵子は、都会の香りをさせており、主人公は千恵子が気になるものの、声すらかけられないという状況。しかし、鉱山の閉山に伴い、主人公一家が東京に引っ越し、それ以来、しばらく千恵子とは疎遠になりますが、浪人時代に東京で主人公と千恵子が再開。小学校時代の懐かしい思い出や、将来の夢などを語りながら恋人同士になる主人公と千恵子。しかし、よくある展開で、遠距離恋愛になったことで、千恵子と主人公は別れてしまう。
そして、再び二人が再開したのが、主人公が医師、千恵子が末期癌の患者という何ともいえない展開が物凄く切ないです。この物語を知ったのは、ちょうどセンター試験の国語Ⅰに出題されていたことなのですが、主人公と千恵子の予備校時代の美しい恋愛描写や、二人とも「生きていたと本当に言えるのは浪人時代だけ」と思い続けていたのが、本当に切ないです。もしも、主人公が医学部に拘らず、東京の大学に受かっていたら、どうなっていたのだろうとどうしても、想像しなくてはいられないです。
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作家名: 南木佳士
出版社: 文藝春秋
雑誌: 文春文庫