このレビューはネタバレを含みます▼
リンカーン・ライムシリーズ第6弾は、単なる連続犯罪捜査にとどまらず、アメリカの歴史そのものに深く踏み込んだ異色作
16歳の少女ジェニーヴァを執拗に狙う事件は、やがて140年前の公民権運動と解放奴隷の記憶へと連なり、個人の暴力が社会の歪みを照らし出していく‥
スリルはやや抑制的で、敵役も過去作ほどの異様さはないが、その分、守る側に回ったライムたちの緊張感が静かに持続する
徹底した科学捜査と重層的なミスリードは健在で、物語は終盤に向かって確かな収束力を見せます
そして何より、ライムとサックスの関係性がさりげなく積み重ねてきた時間が、ラストに温かな余韻を残す
シリーズの中では地味ながら、知性と歴史、そして人の尊厳を静かに問いかける一作