このレビューはネタバレを含みます▼
高校野球という一見ベタな題材を、ここまで知的な罠に昇華させる手腕はさすが中町信
事件が連鎖的に起こる構成は軽快で、読み手を立ち止まらせない一方、気づかぬうちに視線と認識を巧みに誘導してくる
派手なトリックではなく、心理の隙と「思い込み」を積み上げて成立する仕掛けは、静かだが確実に効いてくる
文章や物語性に粗を感じる向きもあるだろうが、それを補って余りあるのが、読み終えた瞬間にすべてを遡りたくなる設計の巧妙さ?
「やられた」と膝を打つ快感は控えめながら、確かな満足感を残す
玄人好みだが、だからこそ今も読み継がれる一冊と言える