世界観のしっかりしたファンタジー。読み始めたら止まらなくなった。途中途中にある、現実から幻影への切り替わりが秀逸。1種類の魔術だけでなく、複数の魔術、呪術が登場し、それぞれの描写が生々しく「お綺麗」なものではないのが良い。所謂「魔術」的な、炎を操ったりするものもあれば、人形を用いて病気の治癒や呪いを行う呪術、本を媒介として発現する魔術、血や獣の死体を使って行使する呪術などが対等なものとして扱われる。話の流れ大筋は復讐譚で、主人公も決して明るいタイプではないが、描写される世界が美しくて、もっと読みたくなる。