一連の人狼物から離れて。全7巻。
アマゾンは旅行者として行くと、本書のようなイメージ通りの姿を見ることがない。ジャガーも檻の中の一匹を見ただけだ。TVや本等で味わうブラジルの代表選手各種をひと通り出してきて、そこにBLという別ベクトルにも想像を加えてきた。映画「天国の青い蝶」を(観れていない)思わせる近い題材モルフォ蝶がモチーフ。黒い肌のジャガーも本書のようであったならその滑らかな背中を触ってみたい気持ち。
そんな私のアマゾンへの期待をくすぐるストーリー。舞台は架空の小国としているが、ブラジルを感じる情景多々有り、ローカル固有色強い物の名(名詞)が散りばめられ、南米情緒を誘う。余計な修飾語句無くて気持ちよい文体。
碧-:扉絵で最初に二人の雰囲気出してるので、いつ如何に二人が?、という流れを意識しつつ、主人公蓮の出会いを含めた環境の大変化という大きな節目を味わう。
青-:友人さえ無く恋も遠い蓮が最も身近な鏑木に自覚する、因縁の16歳の一件(碧)を乗り越え切れず。ただ思うに、18歳の夜、たとえお願いされてもそのハードル高いはず。次の黒の騎士編への盛上げに不可欠としても、事を成しておきながら片思い的進行に違和感はある。
黒-:鏑木の記憶喪失。彼の心理を後から辿るわけだが、蓮の辛さをジャングルでの夢の生活が和らげるまで、恋心描写は男も女も一緒だなと思う。
銀-:同年代異性と交流。敵役ガブリエルの馬脚見せ。複雑な生育環境設定で読み手も彼を悪人一色で見れなくなる。
白-:敵の手駒他皆が皆演技達者過ぎて私は疑問。邸宅の警備も疑問に。
紫-:裏手の門扉閉鎖で二人の逢瀬困難に。二人が束の間会えた、というところにひねりがあって、安心の後の緊張型で踊らされて一気にクライマックスへ。しかしその反面鏑木のキャラから不容易過ぎで不自然に思えてならない。「場面作り」感強い。
紅-:災いの素を封じるのもよくある景色で、なんだ結局との思い。
全般、蓮がピンチ、ナイトの鏑木が助ける、この構図に、蓮の非力?幼さ?、頼るべき鏑木の逞しさのくどい強調があり、時々イライラする。
また、ガブリエルが登場場面、そのパーティー参加から数々の陰謀まで、物理的に不可能と思う。単独行多く部下のいる身には最後迄見えない。
ジンも都合よく配されただけに思えてしまう。
BLとして濡れ場描写必須と言わんばかりに、その場面各巻一二箇所乍比重高い。