表題作と他2作の短編3話構成です。
表題作の「時をかける少女」は1983年に映画化され、その後も幾度と映像化された作品の原作です。
情景、言い回し、関わり合いの織り成す空気感が時代を感じさせますが、色褪せない恋する10代の切なさや瑞々しさなどは揺るぐことなく作品の中に存在しています。携帯電話も無くあらゆる情報収集や検索する事も容易では無かった30年以上前の時代背景。無垢であり素朴であったりする10代の背伸びした感覚や葛藤によって思春期の成長過程での足掻く感じが鮮明に著されているのが印象的な作品です。
短編集で さらっと読めてしまうボリュームなので手に取りやすい1冊だと思います。