この本は『子ども病院からのメッセージ』の内容と少し異なり、子ども病院に入院していた子どもとその家族を数組ピックアップしたお話が数編と、院内学級の詳細をまとめたお話が掲載されている短編集です。この本も全ての漢字にふりがながついているので、小さい子どもでも読めるようになっています。表紙のイラストも前回紹介した本と同じく、かつて院内学級で学んでいた子どもたちが描いたものです。
入院していた子どもたちは多くの詩を残しており、中には子どもが書いたとは思えないほど大人びた詩もたくさんあります。長期間の闘病によって境地に達したのでしょうか。多くの子どもたちは達観した考えを持っています。詩を読むと、今の私が大きな病気をせずに自分で食事ができる、自分の足で歩き、走る。人と会話する。趣味を楽しむ……その『当たり前の生活』を過ごせることがとてもありがたいことなんだと実感させられます。
今の自分が大変、苦しい、つらい、とそのままへこたれるのではなく、自分より大変な思いをしている人がたくさんいるということを忘れずにいたい。そして、いただいた命を無駄にしないよう、少しでも人の役に立ったり、生きた『証』を何らかの形で残したい。そう強く思える内容でした。