「よう、熊さん、調子はどうでぇ?」
「まあまあ、ってとこだな。ところで八つぁん、藍川京先生の『人妻狩り 絶頂玩具に溺れて…』はもう読んだかい?」
「読んだけっどもよ、こいつがどうもね」
「どうしたんでぇ?」
「いやぁね、いかがわしいからくり道具なんかを商う男が次々におなごを替えてまぐわう、という筋書きなんだがよ」
「ふむ」
「どうもうつつと思えねぇんでさあ。あんなあばずれども、お上に見つかりゃたちまち不貞罪でお縄とくらあ」
「そりゃあり得ねぇわな」
「それでいてよ、女どもの束ね役みたいな陽子というおなごがな、男のいちばんの目当てのはずがよ、最後まで何もなしで終わっちまうときたもんだ」
「肩透かしかよ。べらぼうめ!」