このレビューはネタバレを含みます▼
核という極限の緊張を孕んだ史実と、静かな情熱を宿すギター探しの旅――一見かけ離れた二つの物語が、時間を越えて精緻に編み上げられていく構成力にまず唸らされる
過去と現在が交互に進む語り口は巧みで、読者を混乱させるどころか、むしろ世界の奥行きを深めていく
控えめな日本人青年が、否応なく歴史と陰謀の核心へ巻き込まれていく過程には、静かなリアリティと普遍的な人間味があります
冷戦下の政治的駆け引き、土地に根差した人々の生活、そしてスペインという舞台への深い眼差しが物語に厚みを与える
終盤で明かされる仕掛けは、単なる驚きに留まらず、読後に物語全体を反芻させる力を持つ
エンターテインメント性と知的刺激、その両立を高い次元で成し遂げた骨太ミステリ