ネタバレ・感想ありテンペストのレビュー

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王国の物語は凄いけど
ネタバレ
2025年4月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 琉球王国はおろかアメリカから変換されたのはたった50年だと言うのに、美しい海を愛で水族館に足を運び、南国のリゾートを楽しむ旅行者には沖縄は「沖縄県」です。
しかし、リゾートや那覇の市街を離れて地元民の営みに踏み入ると沖縄独特の言葉、ウチナーグチを耳にします。ここは元々日本とは別の国であったのだと強く感じた事がありました。本書は史実を踏まえ、様々な技術が発達するにつれどんどん狭くなって行く世界に翻弄される小さな王国の激動の時代を迎える序章でしょう。
それはいいのですが…、面白かったのですが…。
とても残念な事に登場人物が織りなす物語が結構陳腐、且つ底が浅くてのめり込めませんでした。
時たま「馬鹿なの?」と呟いてしまう程でした。
男装を解いた真鶴が寧温だと皆が気付かないのは物語だからそこはいい。
しかし、主人公の寧温(真鶴)は国に尽くしたいと言いつつ女とバレて脅されたら国益に反する事をするし、1度目は読者として何とか目を瞑っても2度目は女として潜んでいた先から国難を耳にして男として戻って来た癖に同じ事をする。そしてとんでもない恋愛脳だから?一目惚れした相手を遠くから見つめて涙している所を見られるとかチープで陳腐。
そのお相手である薩摩の浅倉さんとはお互いに「顔に惚れた」だけで恋愛に中身が無く、「犯してやった」「喜んでいた」と政敵から告げられるとあっさり信じて嫌いになる。同窓の朝薫も同じような事で嫌いになる。
そしてそのすぐ後に後悔する。
流刑の地に向かう船で、会いたいと泣き、その数行先で国の為に戻りたいと呟いた時にはちょっと呆れました。
国府には寧温達以外に人材はいないの?って程世界観が狭く、雄大な背景を邪魔していると言ってもいい程でした。最後まで生かされる事が無かったファンタジー要素は何だったのでしょう
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作家名: 池上永一
出版社: KADOKAWA
雑誌: 角川文庫