まず、文章がとても綺麗です。情景をしっかり描きつつ読んでいてダレることもありません。
作者さんが現地に取材に行かれているということもあり、舞台であるブエノスアイレスの街の風景や空気感がしっかり伝わってきます。
マフィアの抗争というのがひとつテーマとしてある作品ですが、ドンパチやるシーンもほんの一部で、基本的には敵対していた主人公二人が次第に心を通わせていく物語なので、マフィアものやヤクザものが苦手な方でも読みやすいです。
ブエノスアイレスのマフィアのアンダーボスにまで登りつめ闇の世界で生きる男と、行方不明の兄を探しにやってきた日本の刑事。交わることのなかった二人の人生が故郷を懐かしく思う気持ち、今はもう手に入らない時間を恋しく思う気持ちを介して深く共感していき情を通わせる様に胸が熱くなります!