藍川京作品の愛読者のやなぎやこ。本書に収録の「記念日の夜」につきレビューします。結婚時は処女でまったくのウブだった人妻を、歳の離れた夫がだんだんとアブノーマルの世界にいざなう倒錯もの。表題の「記念日」とは主人公夫妻の結婚記念日のコト。その日を契機に初老の夫が、妻のもう一つの処女を奪うことを画策する。物語は二人の馴れ初めから説き起こされ、じわりじわりと清純な妻が夫の提案するプレイを受け入れるまでゆっくりと話が展開され読者を焦らす。倒錯とはいえ内容はソフトで、妻も新しい世界の入口に立つところでエンディングとなり、「変身」し切るところまでは描かれない。未知の世界への扉を開けた妻がこの後どう変わっていくのか気になるところであるが、アンソロジーに対する評価は他の著者の作品を読んでおらず資格なし。ということでニュートラルの意味で星3つ。