このレビューはネタバレを含みます▼
企業小説の皮をかぶりながら、その内側で静かに熱を帯びるのは、過去に縛られた男たちの矜持と痛み
広告業界の最前線で繰り広げられる熾烈な駆け引きは臨場感に満ちつつ、主人公・辰村の佇まいにはどこか孤高の影が差す
仕事の才覚と人間的な節度、その両立がもたらす硬質な魅力は、いわゆる“できる男”像を一段深い地点へと押し上げている
やがて浮かび上がる過去の出来事が現在と結びつく構造も巧みで、物語に奥行きを与えるています
華やかな業界の裏側に潜む苦さや報われなさも丁寧に描かれ、読後にはほろ苦い余韻が残る‥
骨太でありながらもどこか叙情的――そんな読み応えを求める人にこそ手に取ってほしい一作です