藍川京作品愛読者のやなぎやこ。今回はアンソロジー「秘典」に収められた氏の短編「不倫の匂い」につきレビューします。ヒロインの夫は仕事が忙しいものの、家庭内に波風も立たず、幸せな日々を送っている。それがある日、妻のものした日記を偶然見てしまうことから物語は急展開。ネタバレしないよう詳細は語りませんが、最後は誰も傷つかず、バッドエンドにならずホッとします。全編をほのぼのした調子で推移するぶん、性愛小説としての見せ場はやや力不足の印象。ヒロインが書いた日記を絡み相手の男が盗み読む、という筋立ては氏の作品によく見られるパターンだが、本作はハード度、濃厚さがもう一歩。星は悩んだ末2つとした。但し作品集「秘典」の中には大御所南里征典氏の作品もあり、ご興味ある方は手にとられるとよい。