激しいぶつかり合い。ヒロインは弱味を見せたくなくて強がる。ヒロインは親の愛情も不十分に遮二無二働き続けて、そして、沢山失った。
ハーレクインはその典型として、かなりの「傲慢」男性がいるが、ここまで手加減無しとは凄い。
ヒロインも彼の「復讐」に向かって頑張る頑張る。メチャクチャな強がりでなくて、そう育ってきちゃって、弱味を見せたり甘えたりが出来ないのだ。まして彼は、それだけのことをされたと根に持っているのだと、ヒロインは自覚している。やり過ぎだろうとは思う。そこまで叩きのめしに来る必要があるかと感じることもあったが、親友の為に打った大混乱以上に、憎まれるだけのことが彼にもあったのだ。身構えて戦闘態勢で応じるから、ヒロインが突っ張り通すのも統一感でてて、最後まで彼女のキャラが貫けている。
映像的表現が、読んでいて面倒臭くない。
たまにこの手の説明的文章が文字数稼ぎの固有名詞濫用に思えることがある。ところが本作は、彼女の左手の痛み、右手の火傷、全身傷だらけによる身体の悲鳴、それらみんな、読んでいて、激しいぶつかり合いと、その裏返しに熱く愛し合う行為との、振り幅を示して、読み手のこちらも彼女の痛みを体感しているかのよう。
罵りながらも、または拒みながらも、強く引き合う二人の強さ。相手の出方によって戸惑いを見せる、二人の強がりの裏の生の感情。互いの意外性に富む行動が物語を最後まで独特の熱量で引っ張り、結末が「らしい」やり方だな、と、向こうに膝を折らせるような読み手に媚びが無いのに、ヒロインならそう出るのも不思議はないなと感じる納得感がある。
確かに当人の言「ジェットコースターのよう」とはこのストーリーの性質を言い得ているが、海辺のシーンで暫しの休息、リラッス場面を挟み、緩急はついている。
やなやつ~と思いながら、魅力に抗えないヒロインの、先に気に入ってしまった者のほうの敗北を見るようで、同性としては悔しさも無い訳ではない。まして、最後の何度も言わせるライアンには、あぁ、こういうやつだっていう設定だったな、と、これまた彼の一貫性が小憎らしい。
カールのポジションが、当て馬もどきなのがスカッとしないところはある。
星合先生のさらりとしたコミックも悪くなかったし、ノベルのこちらはこちらの強烈さがあり、二者二様といったところ。