良い点:冒頭にアレントの半生、原著の「全体主義の起源」が書かれた背景とその難解さの説明があり、原著の執筆にあたってアレントが持っていたであろう問題意識(全体主義がこれまでの政治体制論の中では把握しきれない異例の自己破壊的な事態であること)が分かりやすく書かれている。
本書の大部分もその問題意識を中心として要約されているので理解しやすい。
悪い点:アレントの考えを引用を交えながら解説しているため、若干、どこまでがアレントの意見で、どこからが牧野氏の意見なのか、分かりづらい部分がある。
また、牧野氏の注は非常に詳細で分かりやすいのだが、電子書籍版にも関わらず本文と注のリンクがないのは非常に残念。