氏の作品の定石ともいうべき独身熟女による偶然の邂逅によるロマンス。似たようなシチュエーションの作品をいくつも読破してきたやなぎやこから見てまたか、と思う話だが、もはや中毒というべきか、わかっていても目を走らせてしまう。そして、わかっていても展開される筋書きに大いに興趣をそそられるのである。それはリアリティあるフィクションの世界で、読者である自分もこうした出会いがあれば、という夢を抱かせてくれる。本作もその世界を堅確に守り、読後感まで含めて読み手を満足させる出来となっている。星は3つとしたが、実質⒊5と心得られたし。読んで損なし。