このレビューはネタバレを含みます▼
電力という目に見えない凶器を主軸に据えた本作は、リアリティの境界をあえて踏み越えながらも、読者を否応なく緊迫の現場へ引きずり込む推進力に満ちている
感電の恐怖と時間制限が重なる鑑識シーンはシリーズ屈指の張り詰めた描写で、読み手の神経を容赦なく刺激します
一見すると派手なアイデア先行に映る構成も、終盤で明かされる真相と幾重にも重なるツイストによって、見事に意味を持ち始めるのがディーヴァーの真骨頂
ウォッチメイカーの存在は狂言回し的でありながら、物語全体に不穏な影を落とし、シリーズ的快楽を確実に底上げしている👌
さらに、リンカーン・ライム自身の身体的・精神的変化が物語に静かな余韻を与え、単なるサスペンスを超えた人間ドラマとしての厚みも感じさせる
多少のご都合主義を呑み込ませてしまう語りの魔術――本作は、久々に「騙される歓び」を思い出させてくれる一作