このレビューはネタバレを含みます▼
心にじんわりとくる表現がいいですね。恋について、自分自身の望みと思い通りにならない現実とのせめぎあいの描写は、見方によっては読む者自身の心を振り返る良い機会にもなると思います。たとえどんなに寡黙な人であったとしても、長い人生の中ではきっと何度かはこういう経験をして、自分の感情の中で葛藤や悩みを抱えていた時期があるものだと思います。忙しい4月や5月を過ぎれば、少し時間にゆとりができてホッとする6月に移るのですが、描かれる気持ちはもしかすると、この時期だからこそ味わえる感情なのかもしれません。