ネタバレ・感想あり原発・日本絶滅のレビュー

(4.0) 1件
(5)
0件
(4)
1件
(3)
0件
(2)
0件
(1)
0件
福島ではメルトスルーが現実に
ネタバレ
2017年1月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『東海村原発さ○人事件』で生田さんを知ったのは、もう20年以上前のことになります。そちらの方が完成度が高く、電子書籍化されたらよいのに、と思います。

『東海村~』は、原発利権とヤクザ、ヤクザと被曝労働者などの問題を扱う推理小説。
一方、本作『原発・日本全滅』は、茨城県で発生した原発事故が新たな大事故を誘発し、首都機能が麻痺して日本国が「全滅」、国家としての体裁と主権を失う様を描く、生田さんお得意のパニック小説となっています。
人間のエゴや醜い集団心理が赤裸々にされますが、ラストで「先へ進めば大量の放射線をあびる。しかし、ほんのわずかでも生き延びる可能性があるなら、それに懸ける(原文ママではありません。)」と前進を選ぶ極少数の登場人物たちが、一筋の光明を残してくれます。
生田さんがこれらの作品を発表したのは、まだ日本の原発安全神話が機能していた時代でした。昭和一桁生まれの男性作家がアタると、本当に面白いです。
レビューをシェアしよう!