このレビューはネタバレを含みます▼
作者が晩年に辿り着こうとしていた地点を、かすかに覗かせる未完の一作
ネットゲームという仮想の接点から始まる関係が、現実の重みと静かに交差していく導入は巧みで、何気ない会話の裏に不穏な気配が滲む‥
過去を背負った男と、無垢さと奔放さを併せ持つ女性――その距離の揺らぎが、読み手の感情をじわじわと引き寄せます
物語は核心へ踏み込む直前で途切れるが、不思議と「未完」であること自体が余韻となり、作品の奥行きを深めている
洗練された文体と抑制の効いた緊張感は健在で、むしろ作者の新たな境地を予感させます
結末を想像せずにはいられない、その余白も魅力?