このレビューはネタバレを含みます▼
人種差別という重いテーマを、医療と冒険の物語へ巧みに落とし込んだ社会派小説
南アフリカの過酷な現実を背景に、主人公が目の前の命を救おうと奔走する姿には、強い説得力がある
医師としての使命感だけでなく、国家や権力の論理に踏みにじられる人々の苦境まで描き、物語に厚みを与えています
とりわけ、医学が人を救うためのものなのか、それとも権力によって利用され得るものなのかという対比が印象的‥
差別や支配を単なる悪役の設定で終わらせず、人間の尊厳という普遍的な問題へと広げている点も見逃せない
社会派作品でありながら展開には冒険小説らしい推進力があり、重い題材でも最後までぐいぐい読める
読後には南アフリカの歴史や人種問題について、あらためて考えてみたくなる一冊